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90年代は音楽バブル期で、ミリオンヒットが連発していました。
しかし考えてみたら、今ほどインターネットが普及していなかったにせよ、レンタルCDが普及していた時代で、よくミリオンが連発していたよなぁって思います。
だって買うよりレンタルした方がはるかに安いですからね。
今の時代みたいに握手券などは当然ないし、ミリオンをヒットしたということは確実に100万人以上の人が聞いてくれてると考えてよかった時代だったと思います。
そんな中、最近では一定の料金を月額で毎月支払うことで、音楽聞き放題の定額配信が注目を浴びています。
欧米では当たり前のシステムなんですが、果たして日本で普及するのかどうか。
普及するかどうかは、我々リスナーより各レコード会社の力量しだいと言ったほうが正解かもしれません。
というのは、日本の音楽業界には、著作権の他に、著作隣接権というやっかいな権利が存在します。
ラジオの発祥の地、アメリカには著作権と著作隣接権の区別がないため、たとえばアメリカのラジオは昔から勝手に音楽を流してもレコード会社に少額の著作権料を支払うことはあっても、著作隣接権的な使用料は一切支払う習慣がありませんでした。
むしろプロモーションになるのだからラジオ側がもらっても良いくらいだとさえ言われていたほどです。
アメリカには著作隣接権という概念がなかったため、定額配信もすんなりサービスとして定着したと言えるかもしれません。
しかしこの日本に存在する著作隣接権っていうのが、ほんとやっかいなんですわ。
たとえば私が、定額配信のアプリを開発したとして、JASRACに楽曲を使用したいと申し出て、著作権料を支払えばコンテンツとしていろんな楽曲を提供できるのかといえば、これはノーです。
つまり著作権のほかに、著作隣接権の許可がないと正式にはネット上で配信することはできないんですよね。
なぜならJASRACは著作権を管理している団体で、著作隣接権は管理していないからです。
著作隣接権はたいていは、CD製作者、つまりレコード会社やプロダクションなど、いわゆる原版権を持った人が所有しています。
そういった原版権を持った人それぞれに許可がないと、ネット上などで勝手に配信することは法律上不可能なんです。
だからどれだけすばらしいアプリを開発したとしても、提供するコンテンツである楽曲を全て揃えると言うのは今の日本ではかなり難しいんです。
それが証拠に全ての楽曲が聞き放題と言っても、必ずしもあなたの聞きたい楽曲が入っていないはずです。
聞き放題のアプリなどであなたが聞きたい楽曲がないのは、著作隣接権の許可がとれていないから提供されていないと考えるのが普通です。
特に大物アーティストになればなるほど、大人の事情で権利関係がややこしく、そうやすやすとは楽曲提供には行かないはずです。
そう考えると定額配信は、まだまだ日本では普及には時間がかかりそうですね。
しかしこの定額配信、アーティストにしっかり利益を還元するのであれば、私は早く各レコード会社が足並みを揃えて、導入すべきだと思います。
だって、アーティストから見れば、CD売り上げ時の印税一発計算のようではなく、カラオケ印税みたいに毎月安定して入ることもありえますからね。
リスナーからしても楽曲を保持する必要もなく、聴きたいときに聴けるという音楽のクラウドサービスは、将来は絶対に日常化になると思われます。
長く愛される曲を作って、一定の再生数に応じて利益分配してもらえるのであれば、アーティストから見れば違法ダウンロードされるよりかは、よほど新しい収入源になりうるはずです。
あとはどれだけアプリ側でプレイリストや、口コミのレビュー方式などで、好きな音楽を友人や他の誰かと共有できるかの仕組みつくりだけだと思います。